はじめに:Aさん(パキスタン出身中学生)の学習支援(1)

昨年なかば、パキスタン・ラホールから
日本の公立小学校へ
ひとりの児童(Aさんとします)が、
来日・転校してきました。

その学校・市教委
→ 外国ルーツ児童生徒の学習支援NPO経由、
で、依頼があり、
Aさんのサポートを続けています。

その市では、帰国児童等指導員、と呼ばれ、
来日後2年間のあいだ、
サポートをする仕組みになっています。
私の場合は、スケジュール調整をして、
毎週1日、朝~帰りまで教室に入り、
授業をウルドゥー語で説明したり、
日本語の個別指導をしています。

Aさんは、幼少の頃しばらく日本で暮らし、
その後、パキスタンへ帰国
→ 6年生になって再来日をしました。
幼少期に住んではいましたが、
日本語はほとんど話せません。

両親ともにパキスタン人ですと、
親が日本語を流暢に話せても、
家庭では、
出身の民族語(パンジャービー語)+ウルドゥー語
ミックスしながら会話し、
食事や生活スタイルは、パキスタンでの生活そのままが普通。
(日本人家庭が海外で暮らすときも同様ですね)

その子どもたちが、
日本の学校に通うことになっても、
日中、学校にいるときだけ、
日本文化を体験している、というリズムになりやすいです。

とはいえ、子ども同士仲良くなると、
会話言葉ってめきめき上達していきますね。
ほかに、マンガやゲームなどを通して
日本文化に触れていって日本語が上手くなる、という人もいます。

でも、Aさんの場合は、
友だちとの会話がなかなか活発になりません。
クラスメートや先生たちはすごくフレンドリーな、
とってもいい環境にいるのに、もったいないなぁ~と思うのですが。

日本語分からなすぎ&話せなさすぎ、って
Aさんが自分に縛りをかけてしまっているかなぁ。

個別学習になると、
陽気なパンジャービー気質が出て、
日本語を覚えようとする様子は見られるのですが、
友だちとの会話、
という一番簡単で楽しい習得ルートが閉じたままで、
片言レベルから上達しないまま、今春Aさんは小学校を卒業しました。

日本語習得、という点を気にしなければ、
Aさんは、最高の、いい学びと友達づくりの環境にいたんだけどなぁ。
もったいない気がしますが、
まぁ、そういうこともありますものね。
そして、引き続き、中学校に進学した、のですが、入学式後に休校に。

家庭学習用に
どっさり課題のプリントや問題集をもらっていますが、
今回の休校までのスケジュールのなさとドタバタで、
外国ルーツの子どもへの配慮(ふりがな、翻訳など)は、
まったくできないままに。

そこで、
スカイプを使って学習をすることにしました。
学習のサポート、というだけでなく、
閉じこもり生活の気晴らしにもしてほしいなぁ、
という気持ちからです。

だいたいの毎日、
あらかじめ決めておいた時間帯に30分~40分、
学校からもらってきた課題で、わからないところやポイントを、
チャットボックスに入力しつつ説明したり、
一緒に問題を解いたりしています。
中学校から私宛に同じ課題を送ってもらい、
下準備に活用しています。

写真→ペイント(Win附属)でふりがな・ローマ字など記入

良かったことに、
英語語順ドリル、という課題( a, boy, I, am を並べ替えるとか)は、
日本語がよく分からなくても、
Aさんが自学で取り組めることができます。
わかる、できる、という小さな成功体験が積み重ねられます。

そこをとっかかりにヤル気をだしてもらい、
学習の広がりがでたらいいなぁ、と思っています。

わたしについて

青年海外協力隊でパキスタンで活動、
その後、NGO災害救援活動等でパキスタンでの活動・勤務経験。
ウルドゥー語は協力隊活動で習得。

現在は、支援学校講師、重度訪問介護ヘルパーのほか、
ウルドゥー語を使った学習支援、通訳をしています。

協力隊時代に始めた、ウェブサイト。
パキスタンのこと、
ウルドゥー語について紹介しています。
(データは古くなっています。)

パキスタンの街角から | My Wonderful Days in Pakistan
https://ktc-johnny.com/